ネッツトヨタ兵庫 FONTE
Web Magazine FONTE SEP 2005

SEP 2005
ネッツトヨタ兵庫が毎月発行しているフリーペーパーFONTE。ここでは、FONTEで取り上げる、兵庫にまつわる様々な特集の一部をご紹介します!
“HYOGOで自給自足
但東町で体験する緑の暮らし、恵みの時間”
今月のFONTE表紙

HYOGOで自給自足
但東町で体験する緑の暮らし、恵みの時間。
今回のFONTEは、自給自足を体験してみようということで、HYOGOは但東町に行ってきました。農業体験ができる八平さんは、テレビも、クーラーも、なーんにもないのどかな場所。ここでは、野菜を採ったり、食べ物を作ったり、人と語り合ったり。何もないところから見つける喜びやら、発見を楽しむ場所なのです。風を感じたり、土をいじったり、空を見つめたり…、何でもない時間から何かをみつけてみませんか?

八平 野菜を収穫して、もぎたてを頬ばる。
街なかでは体験できない喜びが待ってます!

 山間に続く田んぼが緑色に輝いてきれい。播但連絡道和田山ICから1時間ほど、あとわずかで京都府というところに但東町、『農村体験館 八平』があります。「いらっしゃい!」おかみさんが大きく手を振って迎えてくれました。ここ最近、農村体験できるスポットが増えました。ただたいていは市営、町営といった公共施設や企業のもの。『農村体験館 八平』は但東町の集落6家族の出資によって1997年にスタートしました。子どもたちが都会に出てしまい高齢化が進むなか代表の能勢勇さん、初美さん夫婦を中心に近所の方々や家族の力を借りて切り盛り。
「過疎化が進んで村がなくなるんじゃないかと心配でね。たくさん人が来てくれたら活気づくのでは、という思いから始めました」
 景勝や文化財といった名所がなく、温泉もない。観光客が目を引くもののない農村。 「何もないところだけど、農家の暮らしをそのまま体験してもらえたらと思います。畑にその日食べるぶんを採りに行って、こんにゃくや豆腐を手作りする、まさに自給自足の田舎暮らし。テレビもクーラーもなし、旅館のような豪勢な料理でなく家にあるもので作る田舎料理。だからもし、快適な旅を求めておられるなら温泉旅館やリゾートホテルをおすすめします。泥がついたり、虫にさされたり、大変なこともついてきますからね(笑)」
 さっそく野菜を収穫しに畑へ。「はい、どうぞ」。奥さんが真っ赤なトマトをもいでくれた。その場でかじってみると…、じゅわっとはじけてジューシー! トマトらしいにおい、なんだか懐かしいふわふわの花の根元で真っ直ぐ伸びるアスパラガス、お花からぷっくり大きな実になるズッキーニ、つるにぶらさがったゴーヤ…。スーパーできれいに並んでる姿からは想像できない、のびのび育った野菜たちにワクワクする。
「野菜が苦手な子どもさんがここでは美味しい!って食べる。
とれたてはやっぱり味が違うからね」。

 
家でよく作るという大西久美子さんに教わりながら、
こんにゃく作りにも挑戦。里芋に似た感触のこんにゃく芋の皮をむき、ミキサーにかける。昔は杵でついたそう、すごい重労働。炭酸化ナトリウムを加えてもみ、弾力が出てきたら丸めてお湯へ、固まったら出来上がり。アツアツを薄く切って醤油をかけて、パクッ。ぷるんと弾力があって美味しい! こんにゃくってこんなふうに作るんだ…。
 家でよく作るという大西久美子さんに教わりながら、こんにゃく作りにも挑戦。里芋に似た感触のこんにゃく芋の皮をむき、ミキサーにかける。昔は杵でついたそう、すごい重労働。炭酸化ナトリウムを加えてもみ、弾力が出てきたら丸めてお湯へ、固まったら出来上がり。アツアツを薄く切って醤油をかけて、パクッ。ぷるんと弾力があって美味しい! こんにゃくってこんなふうに作るんだ…。
「自分たちにとって何でもないと思ってたことに感動してもらえるのがとってもうれしい。"こんなふうに料理するといい"とか、逆に教えてもらうことも。お客さんとのやり取りに発見があって、本当に楽しいですね」。
 ピリッと辛くふうっと甘い自家製のどぶろくは、新潟まで赴き関西で初めて製造免許を取得。そばから育てそば打ち、大豆から作る自家製豆腐…、徹底したこだわりが"本物の良さ"を教えてくれる。訪れた人のほとんどがリピーターになるそう。故郷に帰るような、そんな気持ちになります。

農村体験館 八平
農村体験館 八平 豊岡市但東町赤花457
TEL : 0796-56-1116(要予約)
1泊2食付き5,800円
こんにゃく作り体験1500円、そば打ち体験1500円
(体験は5人分の量から)
※季節や天候、繁忙期により体験できない場合もあります。
事前に予約をお願いします。
http://homepage1.nifty.com/HATIBEI/

HYOGOで LOHASな生活を
している方々に伺いました。
田舎暮らし、本当のところどんな感じですか?

姫路市在住:川口達夫さん・芳枝さんご夫婦
家庭菜園の延長で畑を始めて10年
岡山の山奥まで月1回通っています。

妻は家庭菜園が趣味、私は農機エンジンのメーカーに勤務ということもあり、"畑"には夫婦そろって興味があったんです。娘たちがまだ小さかった10年程前、家族でバーべキューや川遊びができる場所を探していました。そんな折、新聞折込広告に田舎暮らし物件が載っているのを見つけ、見に行ってみることに…。岡山の山奥で元々田んぼだった土地。近くに小川が流れ、広さは300坪と十分でしたが、長年放置されていたため草は生え放題、足元もぬかるんだ状態でした。普通だったら買わないと思うんですが(笑)、なんとなく縁を感じ、2週間たっても買い手がつかなかったら私たちが買おうと決めました。そして案の定(笑)、私たちの土地になりました。何せ車で自宅から2時間半の距離ですから、月1回通うのが限界。せっかく草をむしっても次行った時には元通り、といった具合で、当初はひたすら草との戦いでした。
 スモモなど木のものがなり始めるまでに3年、畑ができるまでに5年、栗などが人に配れるほどできるまでには7年もかかりました。

畑ではそうめん、アラジン、コリンキーなど、名前もユニークなさまざまなかぼちゃが採れる。

文献をひもときながら試行錯誤。失敗もたくさんしましたが、諦めずに、気長に楽しみながら続けて10年。今ではサクランボ、プラム、カボチャなど10数種の作物が収穫できるようになりました。子供たちも大きくなり、これからは夫婦二人、マイペースで続けながら、高齢農家のお手伝いをするボランティアにも参加したいと思っています。そして将来的には娘たちと娘婿と孫と一緒に畑ができれば最高ですね。

多可郡在住:池田剛康さん・幸恵さんご夫婦
本当の健康はライフスタイルから。
人との交流を大切に快適な田舎暮らし

手作りにはもともと興味があって、西宮に住んでいた頃から味噌とか納豆などは自分で作っていました。ところが30歳を前に病気をしまして。本当の健康はライフスタイルからだ! と思い、思い切って田舎暮らしを始めることに。いざ田舎暮らしを始める際の一番のネックは仕事。たまたま引越しのご挨拶に持参した手作り納豆が好評で「これを仕事にしたらいいよ」というアドバイスを受け、納豆作りで生計を立てることになりました。野菜など農作物にかけては本業の農家の方たちにはかないません。あまり人がやっていないことをやったのがよかったんでしょうね。必要な作業場は、人にもらったものや手作りでまかないました。田舎暮らしにはなんでも自分で作ったり直したりできる手先の器用さが必要ですね。屋根の修理なんかも自分でしないといけませんからね。
 私たちは専業農家ではないので、畑の仕事は無理せず「手を抜く方法」でやっています。きちんと草取りをしている人の畑はそれほど草が伸びないのですが、私は草も好きなので(笑)あまり取らずに、作物とできる限り共存させています。


池田さんが作る納豆は粘り気の強いふっくらとした味。手作りのパッケージには納豆を使った幸恵さんの料理レシピも。

草は食べられるものもあり、野草茶にしたり、刈って置いておくとマルチ代わり(作物の根の周辺を覆うビニールやわら)にもなり、色々と利用法はあります。でもいつも草の勢いに負けてしまいますけど(笑)。
 8年程前から「百姓くらぶ」という会を作って、都会の人に田舎暮らしを体験できる場を提供しています。また森林ボランティアに参加したり、地元NPO活動に関わったり。地元の人とも都会の人とも適度に交わることで、快適で楽しい田舎暮らしを送れていますよ。