ネッツトヨタ兵庫 FONTE
Web Magazine FONTE DEC 2005
DEC 2005
ネッツトヨタ兵庫が毎月発行しているフリーペーパーFONTE。ここでは、FONTEで取り上げる、兵庫にまつわる様々な特集の一部をご紹介します!
今回のテーマは
“絵本は魔法 今、読み返す"心に残る絵本"”
今月のFONTE表紙

絵本は魔法
今、読み返す“心に残る絵本”
最近読んだ本よりも、小さい頃に見た絵本の方が、
ずっと鮮明に心に残っていませんか?
大人になるとつい忙しさにかまけて忘れてゆく、純粋な気持ち。
ほんの少しの時間でそれを取り戻してくれるものが、
大人が楽しむ「絵本」なのだと思います。
そしてそれは、“魔法”といっても過言ではありません。
そこで今回は、絵本に親しい方々に“心に残る絵本”を紹介してもらいました。

A 円山川公苑美術館 学芸員 松本俊彦さん

「雪の女王」ハンス・クリスチャン・アンデルセン/作 バーナデット・ワッツ/絵 ささきたづこ/訳(西村書店)1575円
仲の良いカイとゲルダ。ある日、カイの心臓と目に、悪魔が作った鏡の破片が突き刺さる。カイは雪の女王に連れて行かれ、ゲルダはカイを探すためひとり旅に出る。「クリスマスに読んで欲しい1冊。アンデルセン作品の中には恋物語も多く含まれていますが、真実の愛とは何かを私達に深く考えさせるものになっています」

「すずの兵隊さん」ハンス・クリスチャン・アンデルセン/作 ささめやゆき/絵 角野栄子/訳(小学館)1733円
一本足の錫の兵隊さんは、かわいい紙の踊り子さんに恋をする。恐ろしい目にあいながらも、再び踊り子さんと出会えたとき、兵隊さんは炎の中に投げ込まれ・・・。「こちらも愛について考えさせられる本。社会的な道徳心とは何か、死をあがなうものは存在するのかなど、心理学的な洞察や、哲学的な思索の要素が含まれています」
すずのへいたいさん

B ジュンク堂三宮店 児童書担当 山形由美さん

いわしくん
「いわしくん」菅原たくや(文化出版局)1325円
海を泳ぐいわしくんが、漁師さんにつかまり、とうとうお家の食卓へ…。いわしくんの行方を追うことで人と自然のかかわりが見えてくる。「食べ残してはだめというだけでない、深い余韻が心に残ります。お母さんには先回りして教えるのでなく子どもの心の動きを見守ってあげてほしいですね」。はつらつとした絵も元気の素に。

「ミシュカ」マリィ・コルモン/作 ジェラール・フランカン/絵 末松永海子/訳(セーラー出版)1525円
裕福な家で暮らすくまのぬいぐるみミシュカ。持ち主に可愛がってもらえずおもちゃでいることに嫌気がさして冬の野原に家出する。「自由の素晴らしさを知ったミシュカが、最後に自分の意志で自分の生きる道を選ぶ。胸にずしんときます」。自分にできる一番いいことって? 急ぎ足を休め、人生について少し考えてみたくなる。
ミシュカ

C vivo.va book store 店長 森忠典靖さん

たべるトンちゃん
「たべるトンちゃん」初山滋(よるひるプロ)2415円
児童画で知られる挿絵画家、初山滋が戦前に手掛けた4コマ漫画絵本を淡い色合いに至るまでオリジナルに忠実に復刻。食いしん坊なブタのトンちゃんがひたすら食べまくる! 「谷川俊太郎の言葉遊びを彷彿させて、今読んでもドキッとする斬新さ。トンちゃんは一見可愛いけど、実はとてもシュール。ラストのオチも衝撃的です」

「光の星」濱田廣介/作 メリンダ・パイノ/絵(集英社)1680円
日本のアンデルセン濱田廣介作、絵は『ミナ・ペルフォネン』のテキスタイルを手掛けるオーストラリア人デザイナー、メリンダ・パイノ。「落ち着きのある色調とコラージュのような絵がとてもいいんです」。赤い星、青い星、そして光の弱い小さな星。3つの星が天の川へ水くみに出かけ…。慎ましく美しい言葉も胸に響きます。
光の星

D ジオ ジオ  店主 江草元治さん

じごくのそうべえ
「じごくのそうべえ」田島征彦(童心社)1470円
男4人がそれぞれの特技で地獄を引っかき回す愉快痛快なお話。桂米朝が復元した、江戸時代の上方落語がベースに。「歯医者が鬼の歯を抜き、山伏が煮えたぎる釜の湯を冷ます…。作者にお願いして撮影した原画のスライドで読み聞かせすると、みんな大笑い。本は静かに読むものなんて思いこみが吹き飛んで心から楽しめますよ」

「いつもだれかが…」ユッタ・バウアー/作 上田真而子/訳(徳間書店)1785円
歩んできた日々を振り返っておじいさんは思う、目に見えない天使がいつも見守ってくれていたと…。「若い時はすべてが自分のためにあって親さえ疎ましく感じる。けれど人生をふと振り返って、あの時、あの瞬間、何かに後押してもらったと、気づかせてくれる絵本です」。読む人の年代によりそれぞれに感じることのある作品。
いつもだれかが…

E ギャラリー・ヴィーStaff/イラストレーター 小林美佐緒さん

満ちてゆくぼく
「満ちてゆくぼく」太田朋(大和書房)1155円
リズミカルな言葉とシンプルな絵で綴る大人向きの絵本。「いっぱい描き込んで言いたいことを盛り込むんじゃなく、シンプルな色と線だけで世界を表しているから、大事なことが見る人に届きやすいんだと思う。ストーリーがないので受け取る人の感性やその日のコンディションで、本から感じることが違うのもおもしろいですね」

「スースーとネルネル」荒井良二(偕成社)1050円
『ギャラリーヴィー』絵本塾の講師でもある荒井良二作。眠りにつく前、子どもたちが想像をふくらましてお菓子の国やおばけの世界を旅するお話し。「何の説明もなくいきなりトケイの中に入って空想が始まるなんてワクワクします。子どもの頃ってこんな遊びしましたよね。絵本は大人も想像の世界に行けちゃうところがすごい!」
スースーとネルネル

A 兵庫県立円山川公苑美術館
兵庫県立円山川公苑美術館
今年、生誕200年を迎えるアンデルセン。デンマークでしか見ることの出来ない原稿やスケッチ、日本で最初のアンデルセン童話などを多数展示。学芸員の松本さんは、「アンデルセンの童話は、どれもアンデルセン自身の経験や人生観を反映したものであると言われ、深く考えさせられるものばかり。是非大切な人とアンデルセンの世界を体感してください」
豊岡市小島1163
TEL/0796-28-3085
営業時間/9:00~17:00
アンデルセン生誕200年展/ 開催中~2006年1月22日(日)、 月曜日休館(祝日の場合は翌日が休館)、年末年始(12/30~1/1)
観覧料/大人350円、小人(中学生以下)150円
http://www2.nkansai.ne.jp/org/m-kouen/
B ジュンク堂書店 三宮店
ジュンク堂書店 三宮店
小さな木のイスがあって目を通してからセレクトOK。10年児童書を担当する山形由美さんはじめ専門担当が常駐し、絵本探しをサポートしてくれる。「子どもが大きくなるにつれ、絵本から読み物へいかせようと急いてしまいますが、読み応えのある絵本も多いので無理に切り替えず楽しませてあげてほしいですね」
神戸市中央区三宮町1-6-18
TEL/078-392-1001
営業時間/10:00~21:00、無休
http://www.junkudo.co.jp
C ヴィヴォヴァブックストア
ヴィヴォヴァブックストア
知的好奇心をそそる本のセレクトショップ。デザイン書からレアな古本、自費出版など一冊一冊、店長の森忠典靖さんがこだわりを持って仕入れる。「絵本は色紙でできたものや、飛び出す絵本など仕掛けものも充実。クリスマスに向けてプレゼントしたくなるような絵本も入荷予定。探している本も気軽に相談してください」
神戸市中央区栄町通3-1-17 ESGビル4F
TEL/078-334-7225
営業時間/11:30~20:00、不定休
http://www.vivova.jp
D ジオジオ
ジオジオ
大きく育ったケヤキが迎えてくれる児童書専門店。店主の江草元治さんは兵庫県下の小学校をまわって読み聞かせをしたり、図書室に入れる本のリクエストを子どもたちに直に聞くなど、絵本を通してさまざまな活動も。「もっと積極的に絵本と関わっていきいき楽しんでほしいですね」。開業して20年、年末をもってしばらく休業予定だそう。
加古川市野口町野口119-9
TEL/0794-26-6704
営業時間/10:00~20:00水曜休み(06年1月より休業)
http://www.fan.hi-ho.ne.jp/ziozio/
E ギャラリーヴィー
ギャラリーヴィー
絵本作家が作品展をしたり、絵本塾を主宰するなど、絵本とかかわりの深いギャラリー。イラストレーターの小林美佐緒さんは、ここのスタッフとしても活躍。「私にとって絵本はまるで宇宙。何でもあるし、何でもできる。絵本塾に通って絵本はこういうものという思いこみがなくなりました。普段何気なく考えていることも絵本になるんですね」
神戸市中央区海岸通3-1-5 海岸ビルヂング307
TEL/078-332-5808
営業時間/11:00~19:00(展覧会最終日は~18:00)
日曜休み
http://www.beeflight.com